※診察券・保険証をお持ちください。
※電話予約がない場合は、待ち時間が長くなることがあります。
2018.03.30
この説明文書は、あなたにこの研究の内容を正しく理解していただき、あなたの自由な意思に基づいて、この研究に参加するかどうかを判断していただくためのものです。 この説明文書をお読みになり、担当医師からの説明を聞かれた後、十分に考えてからこの研究に参加するかどうかを決めてください。たとえ参加されなくても、今後の治療に不利益になることはありません。また、不明な点があれば、どんなことでも気軽に質問してください。
九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院先端医工学診療部では、現在脂肪肝の患者さんを対象として、非アルコール性脂肪肝炎の病態解明に関する「臨床研究」を行っています。 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2022年3月31日までです。
日本人の肥満罹患率は25%以上と報告されていますが、そのうち25%の患者さんは脂肪肝を合併しています。さらにその25%が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)へと進行し、その25%は肝硬変、肝癌へと進行することが知られています。国内におけるNASH罹患者数は100〜400万人と推定され、またNASHによる肝臓癌は近年著明に増加しており、今や肝臓癌の原因疾患の第三位となっています。結果としてNASH/肝癌に対する肝切除、肝移植症例も著明に増加しつつあります。しかしながらNASHの病因は不明であり、未だ確立した診断・治療法がないのが現状です。 そこで本研究では、患者さんの血液および手術時にいただいた少量の肝臓組織、脂肪組織における炎症・代謝産物を、通常脂肪肝の方や健常な方(生体肝移植ドナー)と比較することによりNASHの原因を明らかにする事を目的としています。 本研究によりNASHの原因が解明されれば、将来の治療薬の開発につながることが期待されます。
九州大学病院先端医工学診療部で肥満減量手術をうける予定の患者さん40名を対象とさせていただきます。また健常者として九州大学消化器・総合外科で生体肝移植のドナー手術をうける方10名を対象とさせていただきます。 貧血等により、採血をすることで健康状態が悪化すると考えられる方は、この研究にご参加いただくことはできません。
この研究への参加に同意いただきましたら、カルテより以下の情報を取得します。また、通常診療での採血15mlに追加して、研究用の血液を10ml余分に採血させていただきます。
〔取得する情報〕
・年齢、性別、身長、体重、BMI。
・血液検査結果:血算、血液生化学、HbA1c、インシュリン、C-ペプチド。
・線維化マーカー(M2BPGi、IV型コラーゲン、ヒアルロン酸、FIB-4)、HOMA-IR。
・画像診断:エコー、CT、MRI。
術前、術後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年の外来にて通常診療検査時の採血15mlに加え研究用に追加で10mlの採血を行います(ドナーの方は術前のみです)。
手術時に肝組織、および大網脂肪組織の一部を採取し、様々な病理学的診断を行い、また代謝産物を測定します。
以上の測定結果と取得した情報の関係性を分析し、NASHと通常脂肪肝および正常肝の各代謝産物の量の違いを明らかにします。
あなたがこの研究に参加することにより直接受ける利益は、NASHの有無、重症度診断が肝生検により確定するため、肝硬変・肝癌発症の高リスク群同定が可能となり、外来における肝病変に応じたフォローアップスケジュールの決定が可能となります。 生体肝移植ドナーの方には、直接受ける利益はありません。 また、予測される負担や不利益は、採血などの時間的負担および肝生検による合併症のリスクがあげられます。しかしながら一般的な経皮的肝生検に伴う合併症(出血1.7%、胆汁漏0.1%以下)に比較し、本研究における肝生検・脂肪生検は手術時に行うため、直視下に十分な止血処置、必要に応じて結紮処置を行える環境にあり、本処置により合併症が起こる確率は極めて低いと考えられます。 そもそも肝生検は、本研究以前より、NASH、脂肪肝、ドナー肝の病理診断のため、同意のもと肥満手術・ドナー手術時に全例に行ってきた手技ですので通常診療と特に変わりはありません。
この研究では、あなたに通常の治療に使用するお薬以外のお薬を使ったり、特別な医
療機器による検査をしたりすることはありませんので、健康被害が発生することはない
と考えられることから、特別な補償制度はありません。
採血の際に研究のために採らせていただく血液の量も健康上問題のない量と考えて
おりますが、もし、採血の際にめまいがしたり、気分が悪くなったりした場合は、すぐ
に採血を中止し、担当医師が適切に対応いたします。
あなたに通常の治療費以外に新たな負担を求めることはありません。 また、あなたに謝礼をお渡しすることもありません。
この研究への参加はあなたの自由な意思で決めてください。同意されなくても、あなたの診断や治療に不利益になることは全くありません。 また、いったん同意した場合でも、あなたが不利益を受けることなく、いつでも同意 を取り消すことができます。その場合は、研究用に採取した血液やその血液を調べた結 果などは廃棄され、取得した情報もそれ以降はこの研究目的に用いられることはありま せん。ただし、同意を取り消した時にすでに研究結果が論文などで公表されていた場合 には、完全に廃棄できないことがあります。
あなたの血液や病理組織、測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、あなたのお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。あなたと研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学病院先端医工学診療部のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、あなたが特定できる情報を使用することはありません。 この研究によって取得した情報は、九州大学病院先端医工学診療部 江藤正俊の責任の下、厳重な管理を行います。
〔試料について〕
この研究において得られたあなたの血液や病理組織等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学病院先端医工学診療部において同分野部長 江藤正俊の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
〔情報について〕
この研究において得られたあなたのカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学九州大学病院先端医工学診療部において同分野部長 江藤正俊の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
また、この研究で得られたあなたの試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、あなたの同意がいただけるならば、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えております。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
この研究に関する必要な費用は、文科省科学技術研究費、部局運営費でまかなわれます。
九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
本研究に関する必要な経費は文科省科学技術研究費、部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学ARO次世代医療センター 電話:092−642−3771)
この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、どうぞお申し出ください。 また、この研究では、学会等への発表や論文の投稿により、研究成果の公表を行う予定です。
この研究の結果として、特許権等が生じる可能性がありますが、その権利は九州大学及び共同研究機関等に属し、あなたには属しません。また、その特許権等を元にして経済的利益が生じる可能性がありますが、これについてもあなたに権利はありません。
研究責任者の判断により、研究を中止しなければならない何らかの事情が発生した場合には、この研究を中止する場合があります。なお、研究中止後もこの研究に関するお問い合わせ等には誠意をもって対応します。
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 (分野名等) |
九州大学病院 先端医工学診療部 |
研究責任者 | 九州大学病院 先端医工学診療部 部長 江藤正俊 |
研究分担者 |
九州大学病院 先端医工学診療部 助教 長尾吉泰 九州大学大学院医学研究院 消化器・総合外科 准教授 吉住朋晴 九州大学大学院医学研究院 消化器・総合外科 准教授 沖 英次 九州大学病院 検査部 助教 瀬戸山大樹 九州大学大学院医学研究院 臨床検査医学分野 教授 康 東天 |
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
担当者:九州大学病院先端医工学診療部 助教 長尾吉泰
連絡先:〔TEL〕092-642-5992(内線5992) 〔FAX〕092-642-5199
メールアドレス:ynagao@surg2.med.kyushu-u.ac.jp